「岡山にヌートリアがいるらしいよ!」
そんな話を初めて聞いたときは、「えっ、動物園の話?」と思いました(笑)
けれどある日、夫が自宅に帰宅中、信号を渡るヌートリアを目撃!

普通の住宅街ですが、近くには用水路があります。
のんびり歩く姿は一見可愛らしくもありますが、ヌートリアって、実はちょっと注意が必要な動物だそうで……。
今回は、岡山でよく見かける“野生のヌートリア”について、目撃談から実際見かけたときの対処法まで、じっくりご説明します。
ヌートリアってどんな動物?
ヌートリアは、南アメリカ原産の大型のネズミの仲間。

一見カピバラのような顔をしていて、ずんぐりむっくりした体に、スルッとした細長いしっぽが特徴です。
体長は40~60cmほど、しっぽを入れると最大で1m近くになることも。
性格はおとなしく、泳ぎが得意。
川や池のそばで草や茎を食べたり、淡水産の巻貝を食べたりしながら生活しています。
もともとは毛皮をとるために日本に輸入されていた外来種で、野生化した今は「特定外来生物」に指定されているのだそうです。
ヌートリアの毛皮は、柔らかく上質。また、安価に入手できるので、第二次世界大戦ごろには、軍隊の防寒用飛行服の裏地に使われていました。
日本では、1939年にフランスから約150頭を輸入。当時は、軍隊の「勝利」にかけて「沼狸(しょうり)」と呼ばれていたそうです。(Wikipediaより引用)
なぜ岡山でヌートリアがよく見られるの?
実は岡山は、ヌートリアの生息にとってかなり快適な場所。
野生のヌートリアがここまで増えたのには、気象条件と歴史的背景、二つの要因がうまく合わさった、という理由がありました。

まず、生息に必要な気象条件としては、温暖な気候で水辺が多いから、という理由があります!
岡山は、晴れの国と言われるだけあって、災害も少なく、気候も穏やかです。
また、用水路・川・田んぼなど、ヌートリアが好む湿地環境が、市街地のすぐ近くにも多数存在しています。
そして、もう一つの歴史的背景がこちら。

戦後に毛皮産業が衰退し、飼育されていたヌートリアが逃げ出した(または放された)から。
実は、1944年頃には、西日本を中心に全国で4万頭が飼育されていたのだとか……。
ヌートリアは、寒いところでは生き延びれないので、放された幾つかの個体は、温暖な気候の岡山県を中心に、繁殖を続けていったと推察されます。
ヌートリアは、季節を問わず年中繁殖が可能。
また、生後半年程度で大人の個体になります。

ネズミ科だけに、これがほんとのネズミ算……🐀
その結果、現代の岡山市・倉敷市などでは、住宅街の近くでも頻繁に目撃されるようになった、というわけです。

我が家の夫が、ヌートリアを目撃したシーンはこうでした
6月のとある暑い日。夕方6時頃。
ヌートリアが、用水路の脇道を、のっしのっしと歩いている姿を発見しました……(驚)!!

最初は、カピパラかな?と思いました(笑)
ヌートリアはその後、焦ることなく信号を渡ると、反対側の道に消えていったそうです。
しっぽが長いのが印象的だったそうで、「大きなネズミだね!」と興奮した様子で話してくれました。
ヌートリアを目撃した場所の周囲には用水路が張り巡らされており、方角的には、用水路の中から上がってきたことが推察されます……。
野生のヌートリアを見かけたらどうする?

人に危害を加えることは基本的にはないと言われていますが、油断は禁物。
ヌートリアは「かわいい」と思われがちですが、レプトスピラ菌などの病原菌を保有している場合もあります。
レプトスピラ症は急性熱性疾患であり、感冒様症状のみで軽快する軽症型から、黄疸、出血、腎障害を伴う重症型(ワイル病)まで多彩な症状を示す。げっ歯類をはじめ、多くの野生動物や家畜が保菌している。(出典:国立健康危機管理研究機構 情報提供サイト)
散歩中や通勤・通学中にヌートリアを見かけても、感染リスクがあるため絶対に触ってはいけません!
基本は、「見つけても遠くから観察する」くらいがベスト。
遠巻きに写真を撮るのは問題ないかとは思いますが、フラッシュをたいて撮影したり、追いかけたりするのは避けましょう。
実は“害獣”として扱われている動物でもあります
ヌートリアは見た目に反して、農業や環境に悪影響を与える動物としても知られています。

・田んぼの作物を食い荒らす
・用水路の土手を掘って崩す
・在来種の植物や動物に影響を与える
こういった理由から、ヌートリアは環境省により「特定外来生物」に指定され、駆除対象となっています。
岡山県内でも、農家さんを中心に被害の声が上がっており、行政による対策も進められています。
岡山県では“報奨金制度”もある!
岡山県内では、ヌートリアの駆除に対して報奨金が支給される制度があります。
こちらは、農作物への被害を防ぐために行われている取り組みで、
たとえば「1頭あたり〇〇円」という形で、一定の条件を満たすとお金が支払われます。
ただし、これは狩猟免許を取得した方が、自治体の捕獲許可を得た上で狩猟期間内に行うのが対象で、一般市民が勝手に捕獲するのはNG。

もちろん、ヌートリアを勝手に捕まえてペットにするのもダメですよ~!
可愛さの裏には、地域ぐるみでの対策が必要な側面があることを知っておかなければいけませんね。
まとめ|ヌートリアとは“程よい距離感”で
岡山の住宅街をのんびり歩くヌートリア。

初めて見ると、「えっ、こんな住宅街にいるの!?」と驚く方も多いはず。
ヌートリアは、今や岡山の日常風景のひとつとも言える存在になりつつあります。
けれどその反面、農業被害や病原菌を保持しているといった、ちょっと困った実情も。
見かけたら、「写真に収めるくらいの距離感」で。
地域に根付いた外来生物との関わり方を、私たちも考えてみたいですね。
✔ ヌートリアは南米原産の特定外来生物
✔ 岡山では水辺の多さと温暖な気候で定着
✔ 見かけても近づかず、そっと観察するのが基本
✔ 農業被害などで、県では駆除制度(報奨金)も
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